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外壁塗装の業種の分類と建設業許可の取得要件を解説

■2025/04/09 外壁塗装の業種の分類と建設業許可の取得要件を解説

外壁塗装の業種について、正しい理解ができていますか?
「塗装工事ってリフォーム?それとも建設業?」「許可は必要?職業欄はどう書く?」そんな疑問にモヤモヤしたまま、なんとなく工事を依頼したり、事業を始めようとしていませんか?実はこの「業種の区分」を間違えると、建設業法違反になる恐れすらあるのです。

たとえば、外壁塗装業は建設業法で明確に「塗装工事業」として分類され、許可の取得や専任技術者の配置などが厳密に求められます。500万円以上の工事を請け負う場合は許可が必要となるため、施工金額や内容によっては重大な法的リスクが発生します。また、塗装工事とよく混同されがちなサイディングや防水工事も、実は異なる業種であり、それぞれに異なる許可区分が存在します。

さらに近年は、自社施工や下請け体制の整備が求められ、専任技術者や実務経験年数など「人的要件」も厳格化されています。こうした背景には、住宅業界全体の品質向上と業者間競争の激化があります。国土交通省によると、建設業許可を持つ事業者は約48万業者にものぼり、その中でも塗装業界は高齢化と多重下請け構造が課題となっており、正しい参入知識がより一層重要視されているのです。

この記事では、そうした塗装業の業種区分に関する基礎から最新制度、資格要件や許可取得の具体的ステップまで、行政書士監修のもとで徹底解説します。
読み終える頃には「自社にとって本当に必要な手続き」「誤認しやすい工事種別との違い」「外壁塗装に関わる最適な業種選定」までが明確になります。損失や違法性を未然に防ぐためにも、今こそ業種分類の知識を深めていきましょう。


外壁塗装は建設業の何業種?正式な分類と定義を徹底解説
塗装工事業とは?建設業29業種の中での位置づけと役割
塗装工事業は、建設業法に定められた29業種のうちの一つで、外壁塗装や鉄骨構造物、橋梁などの防錆処理を含む塗装工事を専門とする業種に分類されています。国土交通省が示す建設業法施行令別表第一では、「塗料や塗材などを工作物に吹き付け、塗り付け、または貼り付ける工事」と定義されています。この定義からも分かるように、塗装工事業は非常に広範な施工対象を持つ専門性の高い分野です。

一般的に「外壁塗装」というと住宅の外壁を塗り替えるイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実際にはもっと多くの施工対象が存在します。工場の床面、駐車場のライン塗装、プラント設備の鉄骨塗装などもこの業種に含まれます。塗装は建築物の美観を整えるだけでなく、劣化防止や資産価値の維持に大きな役割を果たします。

塗装業として業務を行うためには、一定規模以上の工事を請け負う場合に建設業の許可が必要になります。許可が不要なケースとしては、工事金額が500万円未満であるなどの軽微な工事が挙げられますが、顧客からの信頼性を考慮すると、許可の取得は強く推奨されます。

また、建設業許可を取得するためには専任技術者を設置する必要があり、その条件として実務経験や一定の資格が求められます。例えば、「一級建築施工管理技士(仕上げ)」や「二級建築施工管理技士(仕上げ)」などの資格が該当します。これらの資格を保有していることは、施工技術や管理能力を公的に証明するものとして、顧客や取引先からの信頼を得る要素となります。

塗装工事業は、建設業の中でも「職別工事業」というカテゴリーに分類され、大工、左官、内装、板金などの専門的な工事を行う業種とともに位置づけられています。その中でも塗装は、建物の防水・防錆性を高めるなどの機能性の向上に寄与し、外観の美しさを保つためにも不可欠な工事です。

中小企業や個人経営の塗装業者が多く存在することも、塗装工事業の特徴の一つです。特に地域に密着して営業を展開している業者が多く、戸建住宅からマンション、公共施設の塗装まで幅広い工事を請け負っています。近年では、エコ塗料や遮熱塗装、断熱塗装といった高機能な塗料の需要が増えており、施工技術の高度化も進んでいます。

このような変化の中で、施工業者が自社の技術力を明確に示す手段として、業種分類の正しい理解と許可取得の有無はますます重要になっています。塗装工事業は、単なる塗り替え作業ではなく、建物の寿命を延ばし、環境性能を向上させるための戦略的な業務であるという認識が広がってきており、今後もその重要性は高まると予想されています。


塗装業を始めるには?建設業許可の要否と取得方法を完全解説
許可が不要な場合とは?500万円未満の工事など注意点まとめ
塗装業を始めるにあたって、まず確認すべきなのが建設業許可が必要かどうかという点です。建設業法では、一定の条件を満たす場合に限り許可を取得しなくても塗装工事を行うことが認められています。これを「軽微な建設工事」といい、法律上は明確に定義が存在しています。

500万円未満の工事であれば、建設業許可は不要とされています。この金額には消費税を含まず、請負金額の合計が500万円を超えないものが対象となります。ただしこれは1件ごとの契約金額で判断されるため、年間の売上合計が500万円を超えていたとしても、1回の工事がそれ以下であれば許可は不要です。これはあくまで例外措置であり、塗装業者として長期的な信頼を得るためには、許可を取得しておくことが推奨されます。

また、建築一式工事の場合には、軽微工事の基準は1500万円未満とされていますが、塗装工事は「専門工事」に該当するため、この1500万円の基準ではなく、500万円が基準となります。誤解しやすいポイントでもあるため、注意が必要です。

もう一つの注意点は、材料費がどこまで含まれるかという点です。材料を施主が用意する場合と、業者が購入して提供する場合で判断が変わることがありますが、一般的には請負金額が基準となり、材料費を含んだ金額で判定されるため、工事内容と請求内容にズレがないようにしなければなりません。

さらに、軽微工事であっても、元請け業者として下請けに工事を発注する場合や公共事業に関与する場合など、業務内容によっては許可が必須となるケースがあります。特に、元請けとして大規模な修繕計画や管理業務を担う場合、現場管理や労務管理の責任が発生するため、建設業許可がないと契約が成立しないこともあります。

実際にトラブルが起きやすいケースとして、個人の塗装職人が独立して小規模な事業を始めた際に、初期は問題なく業務が行えても、後々より高額な案件を請け負おうとした際に、許可を持っていないために仕事ができなくなる、あるいは法的な制約を受けるといったリスクが存在します。

さらに、建設業許可の有無は顧客側の信頼性判断にも直結します。ポータルサイトや比較サイトにおいても、許可の有無を明記する欄があることが多く、そこに「許可あり」と記載されている業者の方が選ばれやすい傾向があります。許可の取得は単なる法的条件を満たすものではなく、営業上のアピールポイントにもなり得るのです。

建設業許可は信用力の証明でもあり、公共事業への参入や法人との取引を行う上でも不可欠な要素です。たとえ当初は500万円未満の工事を中心にしていても、事業を継続する中で必ず壁にぶつかる場面が出てきます。したがって、長期的な事業計画を見据えているなら、早めに建設業許可の取得を検討することが賢明です。


塗装業に必要な資格とは?専任技術者の条件と取得方法
必要な実務経験年数と経過措置
塗装業として建設業許可を取得し、事業として正式に営むためには、建設業法上の「専任技術者」の要件を満たすことが求められます。この専任技術者の条件は、許可を取得する業種ごとに定められており、塗装工事業においても例外ではありません。ここでは、建設業許可における塗装業の実務経験要件、国家資格の取り扱い、さらには経過措置の期限と対応方法について詳しく解説します。

建設業許可制度では、一般建設業と特定建設業で必要とされる専任技術者の条件が異なります。一般建設業では、国家資格を保有しているか、もしくは一定期間の実務経験が必要とされます。具体的には、塗装工事業に該当する資格として、1級建築施工管理技士(仕上げ)や2級建築施工管理技士(仕上げ)、建築士(1級または2級)などが認められています。これらの資格があれば、実務経験がなくても専任技術者として認定されることになります。

一方で、これらの資格を持っていない場合には、最低でも10年以上の実務経験が必要とされます。ただし、この「10年」という期間は、塗装工事に直接的に携わった証明が求められるため、単に建設業界に在籍していたというだけでは不十分です。過去の工事台帳、請負契約書、写真記録、発注書などを組み合わせて、施工実績として客観的に確認できる証拠資料の提出が必要となります。したがって、個人事業主や小規模事業者が実務経験で申請をする場合には、書類準備に相当な注意が必要です。

さらに、過去には旧制度に基づいて緩和された条件で許可を受けられた「経過措置」が存在していました。例えば、昭和60年代〜平成初期にかけては、5年以上の実務経験でも専任技術者と認められる時期がありました。しかし、このような経過措置は、建設業法の改正によりすでに期限が設けられ、2020年代以降の新規許可においては認められていません。2025年現在では、あくまで現行制度での要件を満たす必要があります。

資格の種類によっても、取得後に一定年数の実務経験が必要なケースもあります。たとえば、2級施工管理技士(仕上げ)は、試験合格後、実際の現場での管理経験がないと専任技術者とは認められない場合もあるため、取得後の経験も重要なポイントになります。さらに、試験合格証明書の写しや登録証明書を準備しておく必要があります。これらの書類を紛失している場合には、各資格の管理団体から再発行を依頼することも視野に入れるべきです。

行政書士などの専門家に依頼すれば、実務経験の整理から証拠書類の準備、申請書類の作成まで一貫してサポートを受けられるため、スムーズに許可申請を進めることが可能です。とくに、経過措置に該当するかどうか、過去の制度と現在の制度の違いに不安がある方は、専門家への相談をおすすめします。

このように、塗装業として建設業許可を取得するには、国家資格または実務経験のいずれかを満たす必要があり、その判断基準は年々厳格化されてきています。特に経過措置については2025年現在、原則的に終了しており、制度上の抜け道を狙った申請は避けるべきです。正確な知識をもとに準備を進めることが、許可取得への第一歩といえるでしょう。


まとめ
外壁塗装に関する業種の分類や建設業許可の必要性は、一般の方にとっては非常にわかりにくいものです。しかし誤った理解のまま施工を依頼したり、自ら業として参入した場合には、法令違反や思わぬ費用トラブルにつながる可能性があります。

本記事では、外壁塗装が「塗装工事業」として建設業法で明確に定義されていること、また工事金額が500万円以上になると建設業許可が必要になる点を中心に、許可取得の条件や必要な資格、専任技術者の配置義務などについて詳しく解説してきました。

特に注意すべきなのは、塗装工事とサイディング工事、防水工事など他の外装工事との違いです。建設業29業種のうち、それぞれ異なる許可が求められるため、混同していると申請ミスや違法施工のリスクが高まります。国土交通省の最新資料によれば、建設業許可を取得している業者数は約48万社にのぼり、適切な許可と管理体制の有無が、今や業界での信頼性や受注機会に直結する時代です。

また、女性や未経験者でも取得しやすい制度設計が進んでおり、経過措置の有効期限や実務経験のカウント方法などをしっかり把握すれば、資格取得や開業も現実的になっています。

許可取得や資格要件の理解は、単なる法律上の条件ではなく、顧客からの信頼を得るための第一歩です。正しい知識を持つことは、余計なトラブルや費用を回避し、長期的な事業運営を成功に導く基盤になります。

この記事で紹介した制度や要件をしっかりと押さえ、信頼される塗装業者としてのスタートを切っていただければ幸いです。あなたの事業や施工計画が確実に前に進むよう、今後も最新情報の収集と対応を怠らずにいきましょう。


よくある質問
Q. 外壁塗装とサイディング工事の業種はどう違いますか?
A. 外壁塗装は「塗装工事業」として建設業29業種の1つに分類されますが、サイディング工事は「板金工事業」または「左官工事業」に区分されるケースがあります。混同されやすいですが、塗装は建物の表面に塗料を塗布する施工を指し、サイディングはパネルの設置や交換を行う外装施工であり、根本的に施工内容と許可業種が異なります。許可申請時の誤分類は審査の遅延や不許可に繋がるため、行政書士など専門家への相談を推奨します。特に建設業許可制度では業種ごとの明確な施工範囲が定められているため、正確な理解が不可欠です。

Q. 塗装業を始めるのに必要な資格と取得条件を教えてください。
A. 塗装業を建設業として運営するためには「専任技術者」の配置が義務付けられます。この資格には国家資格によるものと、実務経験によるものの2パターンがあり、例えば2級建築施工管理技士を取得していれば実務年数に関係なく要件を満たせます。一方、無資格者でも8年以上の実務経験があれば許可申請は可能です。また、2025年4月現在、一定の条件下で7年実務+実務講習の経過措置も活用できます。こうした条件を整理しておくことで、スムーズな許可申請や開業準備が可能となります。

Q. 外壁塗装業界の市場規模はどれくらいで、今後の将来性はありますか?
A. 外壁塗装業界の市場規模は、2023年度の時点で約1兆2000億円とされており、リフォーム全体の市場の中でも高い需要を維持しています。特に築10年以上の住宅が全体の7割以上を占める現状では、メンテナンスとしての外壁塗装のニーズが今後も継続して増加していくと見られています。加えて、断熱塗料や遮熱塗料といったエコ塗料の普及により、外壁塗装は単なる美観維持から省エネ対策への役割も期待されています。2025年以降は高性能塗料の需要や中古住宅の再生事業との連携により、さらに市場が拡大する可能性が高いです。


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